まもなく始まる超人たちの長期にわたる自転車の旅。頂上に立つのは、聴衆を引き付けるのは誰か。ヘリから撮影した眺望は鳥瞰で個人的に好き。前人未到の挑戦者の行方は!
今回はチャレンジャーをも悩ます雑音(ドーピング)に関するお話し。
レース自体は明朝(現地)スタート!
自転車好きが興じて学生さんから、レースで優勝とかあるんですか?と聞かれることもございます。
「まぁ、ドーピングしても無理やね」と冗談交じりに答えますが、前回お伝えした着床に関わるHIF(低酸素誘導因子)がドーピングにも関わっていたのでご報告いたします。
皆様こんにちは、紺堂つぼ治療院です。
まずは、先週のHIFについて。
HIFは、細胞に酸素を送らせない因子であり、一瞬聞いただけではカラダに悪そうな印象を持ってしまいますが、このHIFのおかげで子宮の上皮が剥離され、受精卵を迎えるという話をお伝えしました。
細胞にとっては困るレベルでも、生体としてはバランスを保ったり困難な状況に対応するために必要な因子でもあります。
このHIFが、どうしてドーピングに関わるのか。
そもそもドーピングには物質と方法があり、物質には興奮剤(もっといけるぜ!系)、抑制剤(落ち着ける系)、造血因子(血液作れ!系)などで、方法は輸血や透析病院以外で受ける点滴などがあります[国立スポーツ科学センターより]。
HIFは造血因子に関わります。正確には、HIF刺激薬(酸素が少ない状況ですよ、と勘違いさせる)により、HIF(酸素が低下していますよ)が活性化され、エリスロポエチン(赤血球の増加ホルモン)が活発になる二段階の工程により、末端の細胞たちに酸素を運搬する能力を他の人より高くする働きがドーピングとなります。
もともとは、腎疾患や血管疾患に用いられる薬として効力を発揮してくれるものです。
しかしながら、正規の薬として登録される前に、同様の物質がプロ自転車レーサーから検出され、登録前なのにどうして病気でもない人プロレーサーから検出?ということでHIF刺激剤が注目を浴びたことがありました。
エリスロポエチンはドーピングとしては直接的で絶対入れてはダメなリストに入っています。
でも、実際エリスロポエチンはどれくらいドーピング効果があるの?と調べた方がおりました。
プロではないが、相当の健脚・剛脚の持ち主たち49名を2群に分けてエリスロポエチン製剤と生理食塩水を入れたらどっちが速い!の検討したところ、最大酸素摂取量については差が出たが、山岳コースのタイムには差が出なかったとのこと。
じゃぁ影響ないじゃん、というのは早計でプロレーサーではないこと、注入期間が短いことなど未確定な部分もあるので効果の程度はグレーのままでした。
私はプロではないし、そういった環境にいたこともないためどういう経緯でドーピングが検出されてしまうのかはわかりません。選手がこっそり!、チームがこっそり!などダメな要因を探して監視してもやってしまう人は出てくるのでしょう。
ライバルが本人の知らないうちにドリンクに入れることもゼロではないし。
「あいつ、やってるんじゃねぇか?」などと疑われるのも避けたいし、「あいつ、やってるんだよ!」というデマゴギーも迷惑もの。
超人としての身体能力に感嘆し、レースの駆け引きに魅了され、異次元の走りに驚喜していたい。それは、自分には起き得ない非日常な感動でもあるし、トレーニング中の最後のひと踏ん張りで「〇〇だったらもっとやれてるはずだ、おれもがんばれ!」と偉人を自分にだぶらせてやり切れることもあり、いわば希望の存在=スター☆ともいえます。
そんなスターがズルなどしていたとしたら、なんだか興醒めです。
体力的なチャレンジもさることながら、雑音にも神経を使いながら一か月で3000キロを走る超人たちのレースが明日から始まります。
1日200キロ走って、また次の日も200キロとか絶対無理です。
1日目で満足して、視界が歪むほどビールを飲むことでしょう。
飲んだくれと超人を比較すること自体がおこがましいですね、ごめんなさい。
今回、書かせていただいた自転車レースとドーピングについては「スティグマ―タ」という小説が頭にちらつき続けました。
自転車と小説の両方とも好きな方は既にご存知かもしれませんが、一気読みしてしまうかもしれません、寝不足注意です。
個人的には作家のお名前に親近感がわいてしまい、ほかの作品も好きになりました。
というわけで超人の皆様、陰ながら応援しております。
最後までお読みいただきありがとうございました。
なお、今回の概要では、どれくらいの「ちょう」を使えるか私なりにチャレンジしたものであり、深い意味はありません。
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